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「交渉人 真下正義」に泣く。(ネタバレ)



踊る大走査線、スピンオフムービー第1弾。

前回の、レインボーブリッジがあまりにも酷かったので、(下の☆に)
あまり期待せず、映画館へ。

地下鉄パニックムービーとしては、良くできてました。
無人車両が地下鉄網をひっかきまわすスリルも、
鉄道の専門用語が飛び交うマニアックさも、
オーケストラの波形と連動した時限爆弾も、
寺島進のべらんめえキャラも。

踊るシリーズと切り離して観ても、
上質のパニックムービーでした。


中盤以降の中だるみと、ぐだぐだのラストさえなければ。



・ 「木島・真下」の、「データ・カン」という
 対比を作って置きながら、ラストの方で整理しないまま放置。
・ 犯人の割り出しで引っぱるだけ引っぱって、ラストはうやむやに。
・ 容疑者の会社捜索の場面、脇線内の捜索場面など、
・結末から逆算して枝葉に当たるカットが無駄に多くて中だるみ。
・ 専門用語が単なるガジェットで終わっており、あまり生きていない。
・線引屋が扱いの大きさや位置づけの割に見せ場がなく死んでいる。
・「交渉人」なのに、犯人との駆け引きがまるで立ってこない。

など、マイナス要因を挙げていけばキリがありません。
ラストの、犯人焼死、身元不明という解決の仕方は、
「踊る」ではなくて「ケイゾク」の匂いがプンプンしました。

犯人と真下が同種の人間だという、言及が何度もでてきますので、
良いように解釈すれば、犯人はもうひとりの真下正義だとも言えます。
炎上する犯人のワゴン車を、呆然と哀れみが同居したような表情で見つめる真下、
という長めのカットは、
警視庁に入らず、犯罪に手を染めたもう1人の真下に対する哀悼とも取れます。

しかし、そういう流れで考えるなら、
エンディングまで葛藤や苦悩という要素は必要です。
事件解決後、すぐさま雪乃にプロポーズするエンディングは、ありえません。
グダグダの極みです。

プロモーションや物販など、
大きなお金の動いている映画だから仕方ないのかもしれないけれど、
シリーズものだから仕方ないのかもしれないけれど、
本編がないがしろにされている感がありました。

プロデューサーが悪いのか、監督が悪いのか、
新人脚本家の原案が完全に潰されている気がして、
劇場に足を運んだこっちがつらい気持ちになりました。

脚本・監督を君塚良一がやる次回作こそ、
グダグダになりませんように。


「踊る」は、テレビシリーズの頃は、型破りな刑事モノとして好きでした。
サラリーマン劇的な中にも、警官殺し事件という縦糸が通っていて、
さすが、君塚脚本という、バランスのとれていたと思います。
所轄と本庁の図式がパターン化してしまったTVスペシャル版の頃も、
それぞれの脚本が良く、お茶の間で見ている分には楽しめました。
その延長にあった第1弾映画は、
スペシャル版を1.5話分にボリュームアップすることや、
テレビ版では撮れないような金のかかるカットを撮ることで、
劇場版にする意味はありました。
そんなポジティブな気持ちで見ただけに、第2弾映画にはガックリきました。
単にレインボーブリッジを封鎖したいだけじゃん。
単なるキャラクタームービーじゃん。
吉本新喜劇を莫大な予算で映画化しただけじゃん。
by morimoto.rinpei | 2005-05-24 21:16 | やっと観た映画


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